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伝え方と設計で変わる!学生に刺さる会社説明会の作り方

石川雄大

石川 雄大

新卒採用支援事業部 事業部長 / シニアコンサルタント

目次

会社説明会を実施する際、みなさんはどのような視点でコンテンツを考えていますか?
また、説明会全体をどのように設計しているでしょうか。

会社説明会では「どんな情報を伝えるか」だけでなく、「どのように伝えるか」も非常に重要です。同じ内容でも伝え方ひとつで学生の受け取り方は大きく変わり、説明会の成功・失敗を左右します。

実際に説明会を運営している中で、「せっかく準備したのに学生の反応が薄い」「説明会後に応募につながらない」といった課題を感じた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、学生に刺さる会社説明会を設計するために押さえておきたいポイントを解説します。

学生の心に届く説明会とは

説明会の成果を分かりやすく定量で示すなら、「選考に進む学生が多ければ成功、少なければ失敗」と言えます。
この前提に立つと、学生から「選考に進みたいと思えない」「何か物足りない」と感じられてしまう説明会には、大きく3つの原因があります。

①何を言っているかわからない

最も多い原因は、社内で使う言葉をそのまま説明会に持ち込んでしまうことです。

例えば、自社のミッションを説明するとき。社内向けの言葉で話しても、学生には背景知識がなく伝わらないことが多くあります。社会人経験のない学生にとっては、業界の状況や目指す未来像といった前提が抜け落ちており、言葉の意味すら理解できないケースも少なくありません。さらに、ミッションに造語や独自の表現が含まれている場合は、定義を丁寧に説明しても理解に至らないこともあります。

根本的な課題は「学生視点に立てていない」ことにあります。だからこそ、社内用語をそのまま使うのではなく、かみ砕いて言い換え、学生が理解しやすい言葉に変換する工夫が必要です。

特に横文字(カタカナワード)は要注意。ビジネスでは当たり前でも、学生には通じないことが多いと認識すべきです。また、社会課題に取り組むことを強調するなら、その課題自体についての解説から始めると理解がスムーズになります。

②ワクワクしない

同じ仕事内容でも、どう定義して伝えるかによって学生のワクワク度は大きく変わります。

ただ業務内容を伝えるだけでは心は動きません。その仕事の先にある目的や社会的意義を描いて伝えることで、学生は初めて「やってみたい」と思えるのです。

【レンガ職人の例】
「教会を建てるためにレンガを積む」という同じ仕事でも、どう伝えるかによって学生の受け取り方は大きく変わります。

例えば次のように伝えると、学生はそれぞれ下記のような受け取り方になります。

・「レンガを積む仕事」と伝えた場合
 →学生は単調な作業として受け取り、「作業量が多い仕事なんだ」と感じる。
・「教会を完成させる仕事」と伝えた場合
 →完成イメージが湧き、「ものづくりの達成感が得られそうだ」と思える。
・「地域の人に憩いの場を提供する仕事」と伝えた場合
 →社会的意義を感じ取り、「人の役に立てる仕事だ」と前向きに捉えられる。

③聞きたいことが聞けなかった

学生が説明会に求める情報は幅広くありますが、「4Pフレームワーク」に当てはめると整理しやすくなります。ここでいう4Pはマーケティング領域で使われる「Product・Price・Place・Promotion」とは別の、採用の文脈で整理したフレームワークです。

すなわち、「Philosophy(理念)・People(人)・Profession(仕事内容)・Privilege(待遇・環境)」の4要素で、どれか1つでも抜け落ちると、学生は「知りたいことが聞けなかった」と感じてしまいます。

【例】
・福利厚生や社員紹介ばかりで仕事内容の説明が欠けていると、「結局どんな会社で、どんな仕事をするのか分からない」となる
・逆に理念や仕事内容ばかりで待遇や働き方の情報が不足すると、「自分に合っているかどうか判断できない」となる

特に注意すべきは、弱みだと感じている要素ほど無意識に薄く語ってしまう傾向がある点です。そのため、学生視点に立って4要素をバランスよく伝えることが求められます。

説明会の本来の役割と学生が求めること

説明会の本来の役割は、学生に自社の魅力を伝えることです。そのため、追うべきKPIは「選考への推移率」となります。

もちろん、説明会の目的が魅力付けである一方で、書類選考の工数削減の観点から「自社に合わない学生には来てもらわなくてもよい」と考える企業もあります。このスタンス自体は問題ありません。しかし、応募が少なく参加者が数名にとどまる場合には、選考に進む学生がゼロになるリスクもあるため、説明会をどのようなスタンスで実施するかはケースバイケースで判断することが重要です。

そもそも、学生は説明会に大きく2つのことを求めています。1つ目は「興味を持てる会社を見つけること」。もう1つは「業界研究のため」です。特に就職活動を始めたばかりの学生は、さまざまな説明会に参加して、自分に合う業界や会社を見極めようとしています。

ここで重要なのが、業界研究目的で参加する学生へのアプローチです。業界自体に興味を持てなければ、自社に対しても興味を抱いてもらえません。

したがって、説明会では自社だけでなく業界全体の魅力や未来を語ることが大切です。自社の成長や未来だけを語るのではなく、業界全体の明るい展望や可能性を伝えることで、学生は自然と業界に興味を持ち、結果として自社への関心も高めることができます。

魅力的な説明会をつくるための伝えるべきコンテンツと設計

説明会に盛り込むべきコンテンツのカテゴリーは、やはり4Pフレームワークです。4Pをさらに細分化すると、以下のように整理できます。

【Philosophy:理念】

説明会では、業界全体の視点や未来を見据えた話をすることがポイントです。自社のMISSION・VISION・VALUEを軸に、「自分たちが未来に向けて何をしようとしているのか」を学生に伝えましょう。

語り手として最適なのは社長です。ただし、毎回説明会に社長が参加するのは難しい場合もあります。その場合は、社長のインタビュー動画を事前に撮影し、説明会で流す方法がおすすめです。

【People:人】

現在活躍している社員を紹介することが大切です。先輩社員が登壇することで、「どんな人が活躍している会社なのか」を具体的に理解してもらえます。また、社員自身のエピソードを通してカルチャーや社内の雰囲気を伝えることも効果的です。

さらに、制度や社内施策など会社の特徴を表す要素があれば、実際の社員の言葉と合わせて紹介することで、より魅力的に伝えられます。

【Profession:仕事内容】

業務内容を説明する際には、単に「何をするか」を伝えるだけでなく、なぜその業務を行うのか、背景や目的も合わせて説明することが重要です。理由や目的が理解できなければ、学生は業務自体に魅力を感じにくくなります。

入社1~2年目で希望職に就けない場合でも、任される仕事が大きな目標達成の手段であることを伝えれば、学生は早期の業務内容も前向きに受け取れます。

ただし、未来だけを強調して事実を隠すのは避けましょう。「入社してまず何をするのか」という現実を示しつつ、将来的な成長や会社のビジョンも併せて伝えることが大切です。

【Privilege:待遇・環境】

福利厚生や残業時間など、働く環境に関する情報もリアルに伝えましょう。

働き方の価値観が合わないまま入社すると、早期離職につながる可能性があります。そのため、単に制度を紹介するだけでなく、「なぜその制度があるのか」「どう活用されているのか」も合わせて伝えることが重要です。

伝える内容と設計で変わる説明会の成果

説明会で学生に魅力を伝える際に最も注意すべき点は、温度感や理解の準備が整っていない状態で、一方的に自社の魅力を押し付けないことです。

例えば、「うちの会社、ワクワクするよね?」といった押し付けのような話から始めると、学生は共感しにくくなってしまいます。背景や理由の説明がないまま、夢のようにキラキラした魅力だけを伝えても、学生は同じ温度感で受け取ることはできません。むしろ、内輪ネタのように感じられ、逆効果になることさえあります。

社長の魅力を伝えたい場合も同様です。いきなり社員が「私、社長が大好きです!」と伝えるのではなく、「社内では『代表が好き』という声が多いため、ぜひみなさんにも直接代表と会って感じてほしいと考えています」のように、背景や文脈を添えて紹介する方が効果的です。

説明会では、伝える内容そのものだけでなく、順序や文脈、事例の見せ方などの設計が学生の理解や興味に直結します。特に、Philosophy・People・Profession・Privilegeの4つの観点を意識してバランスよく伝えることは非常に重要です。また、学生の立場に立って理解しやすい言葉や順序を選ぶことも、共感を引き出す鍵となります。

これらのポイントを意識して設計することで、学生に自然に自社の魅力を伝え、前向きに選考に進んでもらえる説明会をつくることができます。

この記事を書いたメンバー

石川雄大

YUDAI ISHIKAWA

石川 雄大

新卒採用支援事業部 事業部長 / シニアコンサルタント

大学1年生からWebマーケティング事業を展開する株式会社キュービックにて長期インターンシップをスタート。 営業・Webマーケティング・採用担当を経て、長期インターン採用責任者と新卒採用責任者に就任。大学卒業後、正社員として同社に新卒入社。 その後、株式会社土屋鞄製造所に入社。新卒採用責任者を任され、長期インターン制度の立ち上げを行う。 2023年にSTARMINEへ参画。 新卒採用支援事業部の事業部長を務め、新卒採用コンサルティング業務に従事。

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