
内定を出すベストなタイミングとは?内定辞退を防ぐ、 逃げ切り・差し切り戦略の選び方
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近年、体験型のインターンシップに力を入れる企業が年々増加していますが、その背景には、従来の採用手法だけでは十分な母集団を確保できなくなってきているという課題があります。
このような状況の根本には、就職活動を行う学生の人口が年々減少しているという社会的な構造変化があります。これにより、企業は従来型のアプローチだけでなく、新たな施策や工夫が求められるようになってきました。
そこで今回は、体験型インターンシップの設計において、特に意識すべきポイントについてご紹介します。
インターンシップとは、通常の会議室での面談やWeb上での選考では得られない「リアルな体験」を提供する場です。学生が実際の仕事を体験したり、社員と一緒にワークに取り組むことで、企業の業務内容や社員の人柄、社風、職場の雰囲気といった“企業の本質”に直接触れることができます。
では、なぜこのような「体験の場」としてのインターンシップが今、必要とされているのでしょうか。その理由は大きく2つあります。
まず企業側にとっては、体験を通じて企業の魅力をしっかり伝えなければ、必要な採用人数の確保が難しくなってきているという現実があります。一方、学生にとっても、実際の職場や人と関わることで企業理解が深まり、自分に合った会社かどうかを判断しやすくなるため、より納得感のある意思決定が可能になります。
その結果、入社後のミスマッチが起こりにくくなり、企業と学生双方にとって良い結果をもたらすのです。
こうした背景から、インターンシップは今や採用活動におけるアトラクトの場として、企業にとって極めて重要な機会となっています。
インターンシップには、通常の選考活動では得られない、企業にとって大きな価値があります。特に次の3点は、インターンシップだからこそ実現できる効果です。
①学生の「リアルな姿」を把握できる
インターンシップでは、学生が実際に体験型のワークに参加することで、1対1の口頭選考では見えにくい一面を観察することができます。
たとえば、5人1組でチームワークに取り組む場面では、学生同士がどのように会話をし、協力し、意思決定を行うのかが自然なかたちで表れます。このような行動特性や価値観は、会議室での選考だけでは把握が難しく、インターンシップならではの「気づき」が得られるポイントです。
②人事と現場の目線を揃えやすく、フィードバックも得られる
通常の選考では、評価基準を整備していても、人事と現場の間で評価のすり合わせが難しいことがあります。しかしインターンシップの場合、同じ体験を同じ場で共有するため、人事と現場が「同じ目線」で学生を観察しやすくなります。
さらに、インターンシップ後には、現場からのフィードバックを得ることで、より多角的な評価・意思決定が可能になります。
③ 社員のモチベーション向上にもつながる
インターンシップは学生向けのプログラムであると同時に、社内にもポジティブな影響をもたらします。
体験設計に関わった社員からは「学生に向き合うことで、自分自身のモチベーションも高まった」という声が多く寄せられています。また、部署横断での協力を通じて、普段は接点の少ない他部門の業務や考え方に触れる機会にもなり、組織内の連携強化や新たな発見を生むことにもつながります。
インターンシップを実施するにあたっては、以下の観点を踏まえた上で、全体の企画設計を行うことが重要です。
・実施時期
学生のスケジュールや他社の動向を見据えた適切なタイミングを選定する。
・プログラム内容
学生にとって魅力的かつ学びが得られるコンテンツを設計する。
・選考プロセスとの位置づけ
本選考との連動性やステップの一環として、どの段階に組み込むかを明確にする。
・参加特典
学生にとって参加の動機づけとなる特典やフィードバックを検討する。
インターンシップを通じて学生に伝えたい価値を効果的に届けるためには、以下の4つの体験設計が重要です。
・企業としての存在意義が伝わる内容であるか
企業理念や日々の仕事に込められた意義が自然と伝わる設計を心がける。
・学生にとっての学びや成長の機会があるか
参加者が「ギフト」として受け取れるような気づきや経験を提供する。
・自社の価値観やカルチャーが伝わるか
社員の人柄やコミュニケーションを通じて、自社ならではの雰囲気や文化を感じ取ってもらう。
・今後も関わりたいと思える構成になっているか
インターン終了後も継続的に関係を築きたいと思わせる設計が求められる。
具体的な進行フローの一例は以下のとおりです。
①イントロダクション
会社理解を促進するため、簡単なワークや会社説明の場を設ける。
②ワーク
実際の業務を通じて、「何のために(VISION)」「どんな価値を提供するか」といった観点から、仕事の意義を体感してもらう。その際、単純な「新規事業開発」などのテーマは避ける。
③懇親会
社員と交流しながら、自社の人や文化、職場の雰囲気を感じ取ってもらう場を設ける。
この場では、フィードバックを「ギフト」として提供することが効果的。
また、インターンシップ終了後には、改めて労いや参加してくれたことへの感謝を伝えると同時に、今後も深く付き合っていきたいという想いを伝えることが大切です。
その想いを行動で示す方法としては、
・特別選考の案内
・フィードバックで伝えた内容に関して、「これからも一緒に向き合っていこう」などの未来の約束を作る
・カジュアルにランチなどのお誘いをする
などが効果的だと言えます。
どれだけ丁寧に企画・体験設計を行っても、実施時には想定外の課題が発生する可能性があります。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、次の2点に注意する必要があります。
① 実態と異なる体験設計・説明は避ける
インターンシップでは、実際の業務とはかけ離れた内容や、入社後に関わる機会のない仕事を体験として提供することは避けましょう。そのような内容は、学生に誤解を与えるだけでなく、「期待と現実のギャップ」によって入社後の早期離職につながるリスクがあります。
体験設計を行う際は、実際に携わる可能性のある業務をベースに設計することが原則です。加えて、会社のビジョンやカルチャーを説明する際にも、理想だけを語りすぎて、実態以上に華やかに伝えてしまわないよう注意が必要です。
<避けるべき設計の例>
・多くの会社がやっているという理由だけで、新規事業開発のワークをさせる
・商品開発部への配属予定がないにもかかわらず、商品企画に関するワークを体験させる
② シナリオを作り込みすぎない
リアルな業務に近い体験を企画することは重要ですが、体験が「作り物」になりすぎると、参加学生に違和感を与え、意図した印象を与えられないことがあります。
たとえば、営業のリアルを伝えるために、社員がネガティブな態度を演出するロールプレイを行った結果、学生が不快に感じてアンケート満足度が大きく下がってしまうケースもあります。
重要なのは、「何を最も伝えたいのか」という核となる体験を明確にし、無理に盛り込みすぎないこと。そして、運営メンバー全員がその目的と役割を共有しておくことです。
こうしたリスクを回避する手段として、社内でのプレ・インターンシップの実施が非常に効果的です。
通常業務を一時的に止める必要があり、実施のハードルは高いものの、事前に共通認識を持ち、設計の妥当性を確認することができるため、結果的にプログラムの質を大きく高めることが可能になります。
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